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音の聞こえた町。

『音の聞こえた町。』


トン、トン、トン、ピンシャララ。トン、トン、トン、ピンシャララ。


俺はこの時期になると、決まった夢を見る。ボロボロの浴衣を着ている俺が、母ちゃんに手を引っ張られている所から始まる。遠くから出囃子が聞こえてくる。

夢の中の自分に気付くと、すぐに太郎神社の境内のシーンになる。

子供達は神輿をかつぎ、大人達はお神酒を呑む。祭りの日だけは、村の人間全員『太郎神社』に足を運ぶ。子供から老人まで、この小さい神社で一緒に時間(とき)を過ごす。子供は神輿を担ぎ終えると、酒に酔った大人達の周りに群がる。小遣いをせびる。上機嫌な大人達は、自分の息子、娘以外の子供にも小遣いを渡していた。そのお金握りしめ、境内に出ている露店で遊ぶ。

『神輿をちゃんとかついだか?』
『当り前さ。だからここにいるんだよ。』
『そうか、そうか。』
『俺はあいつを狙う』
『一回五十円な。』

射的、ヨーヨー釣り、くじ引き、綿菓子、リンゴ飴。子供からすると夢のような空間だ。俺が特に好きだったのは型ぬきだった。小さい手で画鋲をにぎり、時間をかけて外枠から型を抜いていく。型が難しいやつ程もらえる景品が高く、俺は何度も難しい傘の型に挑戦していた。貧乏だった俺は『これで稼ぐ』という感覚があったせいか、なんなくと傘の型をとってみせた。あまりよく覚えていないのだが『型ぬきの賢』という名前がつけられ、露店のおじさんに目をつけられていた気がした。それが嬉しかったりした。

あの頃の祭りは、本当にキラキラしていた。露店の明かり、大人達の笑い声、歌、掛け声、汗、匂い…、すべてが太郎神社にはあった。その中でも俺にとって一番キラキラ映っていたものは…青年団の兄ちゃん達。型抜きで景品を取った後は、すぐに青年団の兄ちゃんの騒ぎに入り込んでいた。兄ちゃん達が何で笑っているのか分からなかったが、それを見て俺は笑っていた。ここではこう呼ばれていた。『もぐりの賢』。何故、そう呼ばれているのか分らなかったが、『型抜きの賢』同様に俺の自慢の名前だった。

大人になったら絶対に青年団に入ろう。祭りを盛り上げよう。村を盛り上げよう。そんな事ばかり思っていた。青年団に入った俺はしばらくして団長になった。

夢の最後は、いつも母ちゃんが俺の背中を叩く所までだった。

『しっかり歩き!』


(プロット、一部より)


ひのにしけんいち

Tag:ひのにっき  comment:1 

Comment

奥隆 URL|
#- 2012.05.25 Fri17:13
参考になりました。

熱くなりました!
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プロフィール

ひのにし けんいち

Author:ひのにし けんいち
●造る人達en:en代表・劇作家・演出・役者・小道具
●1981年4月28日/AB/愛媛県出身
●趣味(一人居酒屋/人間観察/創作料理/無駄に悩むこと)

2001年より劇団ひまわり入団。研究過程終了後、2004年よりaxleに所属。その後、脚本・演出家としてデビュー。2009年に『造る人達
en:en(当初en-en)』を旗揚げ。他にもイベント企画・制作・運営などマルチに活動中。

●問い合わせ先
hino_en@yahoo.co.jp

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